マンション売却は、不動産の流動化や諸事情により年々相談件数が増加しています。また、買ったばかりのマンションを売りたいという方もいます。ここでは何からはじめたらよいのかわからない人に向けて、マンション売却の際におさえておきたいポイントに加え、売却の流れ、相場、費用や手数料、基礎知識をご紹介します。
マンション売却の基本
マンションの売却を検討するならば次のようなポイントを押さえておくことが重要です。

マンション価値の潮流を読み取る
マンション売却のポイントの第一は売り時をしっかり見極めることです。マンション価格は2019年まで上昇を続けてきましたが、2020年で一つの折り返し点を迎えると考えられています。しかし、現在はっきりと下落の兆候があるわけでもありません。ただ現状を踏まえると少なくとも今は売り時であると言えそうです。
自分のマンションの売却相場を知る
マンション価値が上昇のピークを迎えているとしても物件の売却相場を知らずに高値を付けて売却することはできません。マンションを売りたいのであれば、しっかり相場を知ることが重要です。具体的には、ざっくりとでも自分の住んでいる場所、広さ、間取り、駅からの徒歩、築年数等を調べておきましょう。
今はインターネットでさまざまな不動産会社が情報を公開しているので、検索条件から所有物件と似たスペックのデータを入力するとよいでしょう。そうすることでおおまかな相場が分かります。実際、このような相場を見極めずにいると、より高値で売れたのに安値で売ってしまったということも出てきます。ただ、相場は実際には違う物件でしか比べることができないので、新しい買主と交渉するための目安だと思ってください。
住宅ローン返済計画の策定
マンションを売りたいと思っていても、住宅ローンが残っていても売れるかどうか気になっている人もいるでしょう。
残りの住宅ローンを支払うことができない場合でも、2つの方法で返済が行えます。1つはマンションの売却価格を残債より高くできれば、それで相殺することができます。もう1つは、住み替える場合に住み替えローンを適用することです。相場を見極めながらなるべく高値で売却することが必要になるため、パートナーとなる不動産会社をしっかりと吟味することが重要です。
不動産会社の実力が大きく左右する
マンションを売却するためには、物件のPR活動が非常に重要です。満足いくマンションの売却のためには、パートナーとなる不動産会社や担当者がどれだけ力になってくれるかで大きく差が開くでしょう。そのためにもまずは不動産一括査定サイトなどに登録して、各不動産会社に査定価格の指標を調べてもらいましょう。高値で見積もっている会社を数社候補にし、不動産会社を選定してその中で担当者が好印象な会社に決めるとよいでしょう。
マンション売却の流れ

続いてはマンション売却の流れについて解説していきます。
1.不動産会社を選定する
不動産会社を選定するためには、1つの不動産会社だけでなく、複数の不動産会社に査定依頼を出して、高値で見積もってくれる会社、担当の営業マンの対応をしっかり見ましょう。前述しましたが不動産会社の選定は、その土地に詳しく、査定金額の説明、対応スピード、当該不動産会社を選ぶことのメリットやデメリットも教えてくれる会社を選びたいところです。
2.査定をしてもらう
査定価格の算出方法は「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」の3種類があります。「取引事例比較法」は周辺相場から算出します。「原価法」は建て直した場合の費用を算出します。「収益還元法」は賃料をベースに割り出します。
昨今ではインターネットで簡易査定できるサイトもあります。また、査定にはデータ上からはじきだす「机上査定」と実際に営業マンが訪問する「訪問査定」があります。
3.媒介契約
契約する不動産会社を決めたら、契約を行います。契約には1社と契約する「専属専任媒介契約」、1社との契約であるが、自分でも買い手を見つけて契約できる「専任媒介契約」、そして複数の仲介業者を契約できる「一般媒介契約」があります。
4.売却活動
不動産会社は人気の出るマンションから売却活動を行うため、不動産会社に依存しすぎると放置されてしまうことにもなりかねません。積極的にコンタクトを取り、売却に向けて二人三脚で活動を行いましょう。
不動産会社はあくまでも仲介人という位置づけで考えるとよいでしょう。
5.売買契約
晴れて買い手が見つかった場合、売買契約は仲介不動産会社で行われます。解除は不可となるため、売買契約に記された文言はしっかりと確認しましょう。特に買主が作成している「ローン特約」に関しては特殊な条件が組み込まれているので、後々トラブルにならないよう注意しましょう。
6.物件引き渡し準備と引っ越し
無事に売買契約が済んだら引き渡しに向け、クリーニングや引っ越し業者の選定をすみやかに行いましょう。
7.残代金・物件引き渡し
物件引き渡しと残金受領時に必要なものをきちんとそろえましょう。
必要なものを確認する
必要なものは、以下のとおりです。
- 権利証(登記済証、登記識別情報通知書)
- 実印印鑑証明書(3ヶ月以内のもの1通)
- 固定資産税納付書
- 電気、ガス、水道等清算領収書
- 管理規約・パンフレット・建築確認書等
- 仲介手数料
- 登記費用(抵当権抹消登記等がある場合)
- 売却物件のすべての鍵
※銀行振込で残代金の受け取りをする場合、売主と買主が同席したまま着金確認をします。
マンション売却にかかる費用や手数料
マンションの売却には当然費用もかかります。大別すると税金以外の費用と税金に分かれます。項目ごとに具体的に解説していきます。

仲介手数料
マンションを売りたいのであれば、大きな経費として仲介手数料があります。この金額は、「売却金額の3%+6万円」が標準です。
司法書士への費用
マンションを購入した際にもかかったものです。登記を変更するための費用で、おおよそ3万円前後が多いです。
リフォーム・クリーニング費用
マンションは売りたいけれどリフォームをしてからとなると結構な費用がかかります。リフォームは絶対しなくてはならないものではありません。ただしハウスクリーニングはほぼ必要になると思っておくとよいでしょう。
マンション売却にかかる「税金」
不動産の売買契約書の作成という業務は国が税金をかけています。印紙税は1万円から3万円かかります。また、マンションを購入した時の金額より高く売却できた場合は所得税と住民税がかかります。
マンション売却の注意点

続いては、いざマンション売却をするとなった時に注意したいポイントをご紹介します。
書類を不備なく揃える
当然のことですが、書類をしっかり揃えておくことです。マンション購買時には膨大な書類を受け取ったと思いますが、その書類を再確認しておきましょう。
一般媒介契約がおすすめ
前述しましたが、不動産会社との媒介契約は、数社の不動産会社と契約を結ぶ「一般媒介契約」がおすすめです。専門媒介の場合、スケジュールは組みやすいですが、不動産会社にとってはライバルがいないため集中できる反面、後回しにされてしまう可能性もあります。一般媒介では複数の業者が広告を出すため、目に入る確率もかなり上がってくるといえるでしょう。
内覧にそなえた準備
部屋が片付いていなく、生活感が出すぎてしまっていては、内覧にきた人も購買意欲は湧きません。そのためにも不要なものは処分して、ハウスクリーニング等をきちんと行っておくことも重要です。
希望価格と成約価格を確認する
マンションの場合、他の部屋が既に売却されている場合があります。そのデータには、売主が出した希望価格と実際に売れた成約価格があります。不動産会社が提示してくるデータは売り主の希望価格のことが多く、実際に売却された成約価格ではないことが多々あります。実際に成約した価格をしっかり知りましょう。
マンションの売却には「リースバック」という資産活用法も
最近では「リースバック」という新しいマンション売却方法も注目を集めています。周りに知られることなく、持ち主が住みながら家を売却できる画期的なサービスです。また、将来的に買い戻すこともできます。今の環境を変えたくない、老後の蓄え、住宅ローンの返済、ビジネスの資金、相続対策、医療費など、万が一の際にも有効です。
リバースモーゲージは家を担保に利子だけで住み続けるサービスとして知られていますが、リースバックでは売り主は金融機関との直接的な交渉はないので、審査不要なのも非常に魅力的です。
マンション売却が当たり前の時代となってきた今、競争も増えていることから、売り主が最新の状況と手続きを把握することが有利な売却をするための必須条件となります。また、リースバックやリバースモーゲージ等、不動産活用や売却オプションも既存のもの以外でも増えてきています。ぜひ、きちんとした下調べをして、一番自身が損をしない売却方法を選びましょう。
