近年、利用者が増えてきているリースバック(セール&リースバック)は、数多くのメリットがあるサービスです。
しかし、リースバックの利用を検討している方であったとしても、すべてのメリットを網羅できているとは限りません。
そこで、リースバックのメリットと利用に向いている人について、注意点を含めながら詳しく解説していきます。
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リースバック(セール&リースバック)とは
リースバック(セール&リースバック)とは、売却(セール)と賃貸借(リース)契約がセットになった不動産取引です。持ち家などの不動産を売却して所有権を移した後も、賃貸借契約を結ぶことでそのまま住み続けられます。

病気・事故・進学でまとまったお金が必要になった、住宅ローンや借金の返済が難しくなった、老後の資金面が不安、といった経済的危機は誰にでも起こりうるものです。そのような状況でも家に愛着がある、子どもがいて学校を変えたくないなどの理由から引っ越しは避けたいと考える人も多いはずです。売却によりまとまったお金を手に入れつつ、生活環境をあまり変えずに済むリースバックは、こうした要望を叶えてくれる手法として注目を集めています。
リースバック(セール&リースバック)のメリット

リースバックが注目されているポイントは、生活環境への影響が小さく、まとまったお金が手に入る点でしょう。リースバックの仕組み上、人に知られずに金策ができるのもメリットです。ここではリースバックのメリットを5つ紹介していきます。
売却後もそのまま住み続けられる
資金調達が必要になった際に取れる選択肢の一つが自宅の売却です。しかし、一般的な不動産売却では、売却後に住む場所を探さなければならず、適切な引っ越し先が見つからないことも少なくありません。
リースバックは、自宅を売却した後で、売却先と賃貸契約を結ぶ仕組みです。そのため、売却した後も家賃を払うことで同じ物件に住み続けられますし、固定資産税の支払いやマンションの管理費・修繕積立費の支払いからも解放されます。引っ越しの手間や労力、新しい地域社会に慣れる必要もありません。生活環境を変える必要がないので、子どもの転校によるストレスも避けられるなど、身体的・精神的な負担を抑えられます。
住宅ローンを早期完済できる
リストラや転職を余儀なくされた結果、収入が大幅に減少して住宅ローンの返済が難しくなることもあるでしょう。一定期間住宅ローンを滞納させてしまうと競売にかけられ、退去を命じられます。その場合、多額のローンが残る可能性もあり、生活の立て直しに時間がかかります。
しかし、リースバックは売却資金を一括で受け取る仕組みであるため、自宅を売却して得た金銭をローンの返済に充てれば、早期完済も十分可能です。また、住宅ローンよりも売却額が上回れば手元にお金が残ります。
まとまった資金ができる
自宅などの不動産を売却することで、まとまった資金を得ることが可能です。しかも、不動産会社等が直接買い取るので、一般の売却のように住みたいと思う買い手を見つける必要がなく、短期間で契約がまとまりやすい傾向にあります。資金が必要な期限が迫っていて不動産を早くまとまったお金にしたい場合は、一般の不動産売却よりも有利と言えるでしょう。
リースバックと比較されることの多いリバースモーゲージは自宅を担保にした融資ですので、得た資金の用途が生活費や医療費など金融機関によって限定されることがあります 。それに対して、リースバックで得るのは売却代金なので、どのように使っても問題ありません。自由に使えるまとまった資金を比較的短期間で得られるのは、リースバックの大きなメリットと言えるでしょう。
売却したことは周囲に知られない
一般的な不動産売却では、仲介する不動産会社は買い手を探すために看板や広告を出すため、自宅を売却することがご近所や知り合いに知れ渡ってしまいます。「よからぬ噂を立てられてしまうのでは?」という恐れもつきまといます。
リースバックは、不動産会社や不動産投資家に直接売却するので、売却の実態が公開されることはありません。しかも売却後も同じ家に住み続けるので、自分から言わない限りは売却したことは気づかれないでしょう。周囲に事情を知られずに経済的危機を乗り越えることが可能です。
将来的に買い戻すことができる
不動産をどうするかは権利者に委ねられるので、通常の売却をした場合に買い戻せる可能性はほぼありません。しかし、リースバックには買い戻し制度があり、売却額に応じて決められた金額で買い戻すことが可能です。
一時的に資金が必要になり経済的危機に陥っても、リースバックの売却代金を用いて問題を解決した後、再び経済的に安定することは十分あり得ます。経済的に難しい時期は賃貸の形で過ごし、数年後経済的に余裕ができてから、マイホームを元通り自分のものにできるでしょう。
リースバック(セール&リースバック)の注意点
メリットの多いリースバックですが、利用する際に気をつけておくべきポイントもあります。よく理解した上で利用しましょう。以下の3つの点にご留意ください。

リースバックが認められないケースがある
一般的なローンを組む際に行われるような審査はないリースバックですが、利用できないケースもあります 。
1つ目は、住宅ローンを滞納したため、すでに金融機関から家を競売にかけられているケースです。
競売にかけられてしまっている家に対してリースバックは利用できず、競売では高い金額での売却は期待できない上、家から退去しなければなりません。
住宅ローンの返済が厳しくなったら、競売にかけられる前にリースバックなどを使った返済を検討するようにしましょう。
2つ目は、住宅ローンの残債が不動産会社の住宅査定価格を上回るオーバーローンの状態や、同等程度のケースです。
これは売却先ではなく、住宅ローン契約を締結している金融機関が売却を認めないためです。金融機関からすれば、売却によって完済されるわけではなく、貸し倒れのリスクが生じてしまいます。
家賃の支払いが発生する
固定資産税や住宅ローンの支払いは不要になるかわりに、家賃を滞りなく支払っていく必要があります。リースバックでは、売却額に応じて家賃が定められます。不動産会社にもよりますが、売却額の8~12%程度が1年分の家賃と設定されることが多く、それを12で割った金額が1か月の家賃とする仕組みです。たとえば、10%の場合1800万円で売却した家の1か月の家賃は、1800×0.1÷12=15万円になります。
こうして定められる家賃は、同じ地域での同等の家やマンションの家賃相場よりも高くなることも少なくありません。賃貸で住む期間が長期化すると、負担が重く感じられるでしょう。逆に期間が比較的短ければ、多少高めの家賃でも相殺されると言えます。
売却額で家賃が決まるため、売却額が高ければ高いほどよいわけではありません。売却後どの程度の期間賃貸で住む予定かも考慮に入れて、売却額を決定するとよいでしょう。
買い戻しの金額が、売却額よりも高くなってしまう
買い戻して自宅を再び自分のものにするチャンスがあるのは魅力的ですが、買い戻しの金額は売却額よりも基本的に高くなるという点も覚えておかなければなりません。投資目的でリースバックを行う買い手の不動産会社側からすると、かかった諸経費や利益を上乗せした価格で買い戻してもらわないと損失が出てしまいます。そのため、買い戻しの金額は売却額の1割~3割増しで設定されるのが一般的です。1800万円であれば1,980~2,340万円ほどになると考えられるでしょう。
リースバック(セール&リースバック)の利用に向いている人

不動産の売却を考えている方の中で、リースバックを利用するのに向いているのはどのような方でしょうか。以下の4つのタイプのどれか、またはいくつかに当てはまる方は、検討してみてはいかがでしょうか。
まとまった資金を急いで用意しなければならない方
ローンや借金の返済が滞っている、失業や病気のため返済が一時的に困難になった、でも今は引っ越したくないという方にはリースバックが適しています。売却で得た資金で返済して、生活を立て直しましょう。大きな病気や怪我の治療費や介護費用、子どもの教育費、事業のためにまとまった資金が必要という方も、リースバックを利用することで不動産を早く現金化することが可能です。
老後資金の確保や相続の準備をしたい年配の方
老後の生活資金に不安があるので売却したい、死後は誰も住む人がいないので今のうちに現金化して旅行や趣味などに使いたい方もリースバックの利用に向いています。また、相続の際に子どもたちが分割しやすいように自宅を現金化しておきたい方が利用するケースも少なくありません。
住み慣れた家を離れたくない方にとって、賃貸住宅として住み続けられるリースバックは魅力的な選択肢でしょう。
家を買い替える計画がある方
新居や土地の購入のために資金が必要であるため、新居の住宅ローンの条件として自宅を売却しなければならないといった方にも向いています。リースバックを利用すれば、売却後も新居に引っ越すまでは住み続けられるので、スムーズに転居できます。
将来的に買い戻したい方
現時点では資金を得るために手放すとしても、将来的には愛着のあるマイホームを取り戻したいと希望する方もいるでしょう。数年間賃貸住宅として住み続けながら生活を立て直し、経済的に安定した時点で買い戻すことを計画している方にもリースバックはおすすめです。
リースバック(セール&リースバック)を利用するなら「リースバックプラス」
リースバックにはメリットが多いので、利用者も取り扱う企業も近年増えつつあります。しかし、その詳細は各社で異なるため、比較検討が必要です。特にリースバックの注意点を克服できるかどうかに注目するとよいでしょう
一建設の提供している「リースバックプラス」は注意点を克服しているリースバックです。当面買い戻さない予定の「標準プラン」と、近いうちに買い戻す予定の「定期プラン」から選ぶことができます。標準プランは、年数が経つほど買い戻し価格(再購入価格)が下がるという画期的な仕組みになっているのが特徴です。そのため、10年間住み続ければ、買い戻し額が売却額を下回るケースもあります。また、定期プランは1年目の賃貸料がかからず、余剰資金を預けることで2年目以降の家賃を抑えることが可能です。このように家賃の支払いが発生しても負担が少なく、買い戻しの金額が売却額よりも高くなってしまうという問題点も克服しています。その他、防犯や火災防止など付帯サービスも充実しており、リースバックの中でも特におすすめできるプランです。
生活を大きく変えずにまとまった資金を早めに得られるリースバックは、従来の不動産売却やローン、リバースモーゲージなどでは解決しにくかった問題にも対処できます。上手に利用して今後の生活に役立ててみてはいかがでしょうか。
