持ち家を維持していくには、高額な税金を支払い続けなければなりません。この税金が痛手になってしまっている人や、もう少し下げることができたらと思っている人も多いのではないでしょうか。ここでは持ち家にかかる税金の種類と、毎年の支払いの負担を軽減する方法を解説していきます。
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持ち家を維持するためにかかる税金の種類
まず、毎年払わなければならない税金の負担を減らすためには、現在どんな種類の税金をどれくらい納めているのかを把握することが大切です。現在支払っている税金の額を計算できると、税金負担がどれだけ減ったのかを把握しやすいでしょう。ここでは持ち家を所有している人が支払わなければならない2つの税金について説明します。

固定資産税
固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産を所有している人に対して、市町村および東京23区が課税する税金で、持ち家を所有している期間中は毎年納める必要があります。また、一般的にマンションの方が固定資産税が高くなる傾向にあります。
固定資産税を計算する際は、まず土地・家屋ともに課税標準額を算定します。課税標準額とは、課税の対象になる基準となる金額で、不動産の場合は原則として固定資産課税台帳に登録された不動産価格のことを指します。
土地の固定資産税
土地の課税標準額は、3年に一度改定される路線価によって計算します。路線価とは、道路に隣接する標準的な土地の単位地積(1㎡)あたりの価格で、国税庁のホームページで確認できます。例えば、1㎡あたり30万円の土地を100㎡持っている場合は3,000万円と評価されます。更地であれば、この金額が課税標準額となりますが、住宅用地には「住宅用地の特例」が適用されます。これは住宅用地であれば、課税標準額に対して200㎡までは1/6、200㎡超の部分は1/3を乗じて課税標準額を計算する措置です。上記の場合は200㎡以下ですので、500万円(3,000万×1/6)が課税標準額となります。この価格の1.4%(標準税率)が固定資産税として徴収されるため、土地の固定資産税は500万円×1.4%=7万円と計算できます。
家屋の固定資産税
家屋の価格は、固定資産税評価額や課税標準額と原則等しいため、課税明細書の価格(評価額)を確認します。計算式は「固定資産税=課税標準額(評価額)×1.4%(標準税率)」で、例えば、500万円と記載されていれば、標準税率の1.4%を掛けた、7万円が徴収されます。
都市計画税
都市計画税はあまり考えたことがない人も多いのではないでしょうか。これは都市計画法によって定められた市街化区域内にある土地や建物などの不動産を毎年1月1日時点で所有している人に対して、固定資産税とともに課税される税金です。東京23区は都税として課税されます。こちらも課税標準額を基準として「都市計画税=課税標準額(評価額)×最高0.3%(制限税率)」と計算されます。
住宅の都市計画税にも特例措置があり、小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は課税標準額×1/3、一般住宅用地(200㎡超の部分)は課税標準額×2/3となります。上記のケースで計算すると下記の計算式で都市計画税が算出されます。
都市計画税=土地の課税標準額1,000万円(3,000万×1/3)×0.3%=3万円
都市計画税=家屋の評価額500万円×0.3%=1.5万円
持ち家の固定資産税の負担が減る軽減措置

2種類の税金に対して国は一定の軽減措置を設けていますが、特定の要件を満たす必要があります。そこで、固定資産税が減る軽減措置について説明します。
住宅用地特例措置
住宅用地特例措置は先述した計算式でも触れましたが、これは課税標準額を計算する際に土地の課税標準額を圧縮することで税金負担を軽減してくれる制度です。住宅用地であれば、土地の固定資産税・都市計画税を1/6〜2/3まで軽減してくれます。所有する自宅の土地の広さと軽減率は下記のとおりです。
小規模住宅用地(200㎡までの土地)の課税標準額:固定資産税1/6、都市計画税1/3
一般住宅用地(200㎡超の部分)の課税標準額:固定資産税1/3、都市計画税2/3
新築住宅
一定要件を満たしている新築住宅は、固定資産税額の1/2が3年間減税されます。マンションの場合は5年間です。これまでは2018年3月31日までに建築された物件が対象でしたが、2018年に法律が改正され、2020年3月31日まで固定資産税の減額が延長されることになりました。さらに2022年3月31日までに軽減が延長される予定ですので、しばらくは減税措置の恩恵を受けられると考えられます。
改修工事による減税
要件を満たす改修工事をすると省エネ改修に関する特例措置の対象となります。現在の状況に伴い、高齢者用にバリアフリー化した住宅や耐震改修を行った住宅、環境に配慮して省エネ改修を行った住宅など、政府が定めた一定の条件をクリアした住宅は、翌年度の家屋にかかる固定資産税が減税されます。
認定長期優良住宅
長期優良住宅とは、長期間、良好な状態で暮らすことができるように設計された住宅のことです。長期優良住宅に認定されると、所得税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税が軽減されます。
長期優良住宅を新築した場合は5年間(新築中高層耐火建築物の場合は7年間)に渡り、家屋にかかる固定資産税額の1/2が減額されます。減額となるのは床面積が50㎡以上280㎡以下で、長期優良住宅の認定をうけた住宅の、床面積120㎡までです。例えば、床面積200㎡の住宅であれば、120㎡までの固定資産税は1/2ですが、残りの80㎡は通常通りの課税となります。
要注意!持ち家の固定資産税の負担増加の可能性
ここまで固定資産税の負担を減らす制度について説明してきましたが、逆に税負担が増加してしまう可能性もあります。うっかり忘れていて負担が増えてしまったということのないように、注意すべきポイントを解説します。
住宅の取り壊し
住宅地として軽減措置を受けるためには、1月1日時点で住宅が建っていなければなりません。そのため、年末に取り壊しを行ってしまうと、住宅用地とみなされなくなり、軽減措置の対象外となってしまいます。
その場合、固定資産税が3〜6倍に膨れ上がってしまう危険性があるため、取り壊しを考えている方は1月2日以降に取り壊しを行いましょう。
空き家の放置
2015年より、「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特別措置法)」という法律が施行されました。空き家の増加に伴い制定されたもので、建物の倒壊や保安上の危険がある物件、衛生的に問題がある物件(ゴミ屋敷など)、管理がされておらず景観を損なっている物件、その他放置することによって周辺の生活環境が脅かされる物件などが対象です。
この法律により、市町村から「特定空き家等」の勧告を受けると、住宅用地の特例の対象外となってしまうため固定資産税が上がってしまいます。持ち家はしっかり管理して、住宅として認めてもらえるようにしておきましょう。別荘や家を2つ持っている方は、日々の管理を怠らないように、工夫して管理することが重要です。
持ち家にかかる税金は固定資産税と都市計画税の2種類があり、税率の計算や軽減措置を受ける方法を知っておくことが大切です。また、持ち家を保有している方、これから建設予定の方は減免措置を受けられるように申請を忘れないようにしましょう。
その一方で、税負担が軽くなるリースバックという仕組みがあります。リースバックは、所有権が売却したリース会社に移り、家賃が相場よりも高くなりやすいといったデメリットがあります。しかし、固定資産税や住居の管理が不要で、これまでと同じように自宅に住み続けられます。まとまったお金を作ることができ、なおかつ税負担を軽減できる方法として注目が集まっています。
