老後にマイホームを所有し続けると、いずれ相続のタイミングが訪れたとき、親族に負担をかけることがあります。一方、賃貸住まいの場合は家賃をずっと払い続ける必要があります。
いずれにしても不安が多い老後の住まいについて、自己所有と賃貸とどちらが良いか悩んでいる方に、それぞれについて解説していきます。
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老後に賃貸物件・持ち家で暮らす人の割合
昔に比べて、マイホームとしていずれは一戸建てを購入したい、といった持ち家にこだわらない賃貸派が増えているように感じますが、高齢者の現状はどうか見てみましょう。

内閣府が発表した「令和2年版高齢社会白書」によると、65歳以上の方のいる主世帯のうち、82.1%が持ち家に居住しているという結果で、賃貸物件で暮らす方はおおよそ2割ということです。賃貸物件の内訳は、6.5%が公営・都市再生機構(UR)、11.1%が民営借家。
65歳以上の単身主世帯の持ち家の割合は66.2%となり、賃貸居住は公営・都市再生機構と民営借家を合わせて33.3%。
単身は主世帯総数に比べ持ち家の割合は低いですが、65歳以上の方全体としてはまだまだ持ち家比率が高いことが分かります。
参考元:令和2年版高齢社会白書(全体版)(PDF版) – 内閣府
老後に持ち家で暮らすメリット

賃貸と持ち家どちらが得か、という議論がよくありますが、“老後”を考慮した場合、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。まずは持ち家についてみてみます。
住宅費の負担を抑えられる
住宅ローンを完済していれば、持ち家の住宅コストは低くなります。住宅費で必要なのはメンテナンスの費用や税金などで、毎月家賃を支払うより費用を抑えやすく、住宅費以外の生活費として老後資金を確保できます。
ライフスタイルに合わせてリフォームができる
持ち家であれば、ライフスタイルの変化に合わせて柔軟にリフォームができます。子どもが独立して家族が減った、車いすを使用するようになったなど、家族の事情に合わせて使いやすさを考慮したリフォームが可能です。手すりを付ける、キッチンをオール電化にするなど、設備の変更も持ち家であれば自由に行えます。
配偶者や子供に家を残せる
持ち家は資産ですので相続の対象となり、ご自宅として居住してれば残された配偶者の相続で優遇される措置もあります。持ち主が亡くなった場合、配偶者や子供に相続ができ、もし住宅ローンの返済が残っていても団体信用生命保険により残債が完済されます。
老後に持ち家で暮らすデメリット
次に持ち家の場合のデメリットについて解説します。

定期的に住宅のメンテナンスが必要になる
設備のメンテナンスや故障時の修理、経年劣化による機器の交換などは自身で行う必要があります。賃貸物件の場合は、住宅の付帯設備の点検・整備と故障の際の修繕費はオーナー負担で実施することが多いです。
気軽に住み替えができない
持ち家の場合は賃貸より住み替えがしづらいというデメリットがあります。一般的には自宅を売却してから新たな家へ引っ越すことになりますが、自宅の売却には手間や費用がかかります。また、購入から年数の経った住宅は価値が低くなり売却がしにくく、より売却に苦労するかもしれません。
災害による倒壊リスクがある
地震や台風などの災害によって持ち家が倒壊した場合、建て替える費用は自己負担となります。火災保険などの保険に入っていれば保険金が支払われる可能性がありますが、十分な金額を受け取れるかはわかりません。また、建て替えをするにも住めるようになるまでに時間がかかり、その間の仮住まいに費用がかかります。
老後に賃貸物件で暮らすメリット

老後に発生するお金の負担を減らしたり、相続トラブルを避けたりするために、賃貸という選択肢があります。まずは、老後に賃貸物件で暮らすメリットをお伝えします。
固定資産税や都市計画税がかからない
賃貸物件で暮らすと、固定資産税や都市計画税などの税金を支払う必要がなくなります。そもそも、固定資産税や都市計画税は持ち家や土地に対して課税される税金で賃貸物件は課税対象ではありません。また分譲マンションで暮らす際には毎月の修繕積立金が、戸建て住宅の場合も維持費が発生しますが賃貸物件では不要ですので、定年後に収入が減る中、出費を減らし金銭面での負担を抑えられる場合があります。
住居に対する相続トラブルが発生しない
賃貸物件で暮らすと、相続トラブルを避けやすいのがメリットです。通常、持ち家や土地の所有者が亡くなると、配偶者や子どもなどに不動産を相続します。このとき、相続人に対して多額の相続税が発生する可能性があるのです。また、相続人が複数いる場合には、遺産の分配が問題となり親族間のトラブルに発展するケースも珍しくありません。
それに対して、賃貸物件は相続の対象にはならず、相続税も発生しないのが持ち家との違いです。所有者が亡くなっても、物件の名義変更や再契約の手続きを行えば、配偶者や子どもが同じ家に住み続けられます。高齢者が不動産を所有し続けた場合、自分が亡くなった後の親族に与える影響を考慮して、賃貸物件での暮らしを選択する方もいます。
家族構成に合わせて住まいを選べる
賃貸物件の場合、ライフステージの変化に伴い家族構成が変わっても、その時の状況に合わせて住み替えがたやすいという利点があります。持ち家の場合、子どもが独立して家を出ると空き部屋が発生し、誰もいないのに掃除が必要になるなど、管理の手間がかかります。また広い住居では光熱費も家計を圧迫することにもなりかねません。賃貸では家族の人数に合わせて間取りを選びやすく、家賃が安い物件に住み替えれば支出を抑えることができます。引っ越しも持ち家に比べると手間がかかりません。
バリアフリーに対応しやすい
高齢化に伴い住宅のバリアフリー化が必要になった際に、持ち家の場合は自費で工事をするためリノベーションの費用がかかりますし、構造上、対応できない場合があるかもしれません。賃貸物件でバリアフリー設備が整った住宅もありますので、そういった物件を選べば、より安全で快適な生活が送れるでしょう。
老後に賃貸物件で暮らすデメリット
次に賃貸の場合のデメリットについて解説します。

居住し続ける間は家賃がかかる
持ち家に住む場合、住宅ローン返済が完了していれば、毎月の住居費の支払いが少なくなります。それに対して、賃貸住宅は住み続ける限り一生家賃を支払う必要があるため注意が必要です。また、契約時の敷金・礼金や更新時の更新料も負担になります。特に定年退職後は収入が公的年金だけとなり所得が減る方が多いため、退職金あるいは貯蓄を住居費に充てる可能性も考慮しておきましょう。金額によっては、老後生活の資金が不足するおそれもあります。毎月の家賃の支払いが発生するのは、老後のライフスタイルにおいてひとつのリスクといえるでしょう。
いわゆる「老後2,000万円問題」では、住居費は月13,000円と設定されています。この値段の家賃の物件はまずありませんので、賃貸で住み続ける場合は2,000万円より多くの備えが必要になります。現役を引退後も賃貸に住み続ける場合は、今後いくら必要か、老後の資金が足りるかファイナンシャルプランナー(FP)など専門家にシミュレーションしてもらうとよいでしょう。
住み替えがしにくくなる
高齢者になってからの賃貸物件の契約は、入居審査に通りにくくなるリスクがあります。安定収入がない世帯に対しては、家賃保証会社や貸主が契約を拒否するケースも珍しくありません。家賃の負担を抑えるために引っ越しを希望しても、新しい住居が見つからなければ、高い家賃を支払い続けることになります。生活が困窮し、家賃を支払えなくなれば、いずれ退去を迫られるでしょう。高齢者は住み替えしにくいのがデメリットです。
都道府県や自治体が窓口となっている高齢者向けの賃貸住宅もありますが、希望者が多くタイミング良く契約するのは難しいようです。
自由にリフォームができない
賃貸物件は通常、住人が自由にリフォームすることはできません。年を取って動きが不自由になり、室内の段差や間取りに住みにくさを感じた場合は新しい家に引っ越すことになります。
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老後の住まいはマンション?一戸建て?高齢者に向いている住まいとは
老後の住まいに持ち家・賃貸が向いている人の特徴
老後の住まいとして持ち家が向いている、賃貸が向いているのはどのような人でしょうか。

持ち家に向いている人の特徴
まずは、定年までに住宅ローンを完済できる人が挙げられます。毎月のローン支払いがなくなれば、住宅関連の支出が抑えられます。また、環境を変えずに生活がしたい人、地域に根差して生活している人が向いています。なお賃貸では4LDKなどの広い住宅は出回りにくいため、一緒に暮らす家族が多い人は持ち家が向いています。
賃貸に向いている人の特徴
決まった地域にこだわりがなく、定住地が決まっておらず生活に合わせて住む場所(土地・住宅)を変えたい人は、引っ越しが気軽にできる賃貸住宅がよいでしょう。30年間返済を続ける住宅ローンのような借金はできるだけしたくない人も賃貸での居住に向いています。
老後に暮らす賃貸物件を選ぶポイント
「人生100年時代」などと言いますが、充実したセカンドライフを過ごすために住居は大きな要因です。安心して豊かに暮らせる住まい選びのポイントをいくつか見てみましょう。

バリアフリーに配慮された物件を選ぶ
まずはバリアフリーに対応した住宅を選ぶことが日々の暮らしの安心感につながります。具体的には、段差が少ない設計になっている、廊下や階段・トイレ・浴室に手すりが付いているか確認しましょう。これらの設備が後付けできる設計になっていたり、車いすでも出入りできる大きなエレベーターが付いていたりする、バリアフリー対応の賃貸マンションも増えています。
理想の老後を実現しやすい物件を選ぶ
これから先どのような生活を送りたいかを考え、それを実現できる住まいを選ぶのもポイントです。例えば、多少不便でも自然豊かな場所でのんびり過ごしたいのか、老後もアクティブに動き回りたいのかにより、住むエリアが変わってきます。今後の人生設計での優先事項に合った物件の選択肢が広いのも賃貸物件のメリットです。
医療福祉施設が近い物件を選ぶ
年を重ねると健康に不安が出ることも多くなるでしょう。そのため、医療福祉施設が近くにある物件を選ぶことも大切です。家の近くにかかりつけの病院・医院があると万が一体調が悪くなった場合でも安心です。引っ越しに伴い病院を変える場合は紹介状を取得しておくと、新しい病院でもスムーズに診療してもらいやすくなります。
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リースバックとは?メリット・デメリットと注意したいトラブル例
老後に持ち家を売却するならリースバックの活用がおすすめ

税金の負担軽減や相続のトラブルを避けるなどの目的で持ち家を売却するなら、住み慣れたマイホームに賃貸として住み続けられる「リースバック」という方法があります。
リースバックとは
リースバックとは、自宅を不動産会社などへ売却し、その後も賃貸という形で同じ家に住み続けられる不動産取引のことです。よく似た商品であるリバースモーゲージとは違い60歳以上が利用可といった年連制限もなく、自宅を売却して得た資金は使い道に制限がなく、老後資金として自由にお使いいただけます。夫婦の生活費や医療費などの備えにすることも可能です。また、持ち家を現金化しておけば、複数の相続人がいても資産を分配しやすくなります。賃貸であるため、固定資産税や都市計画税などの税金の負担はありません。
リースバックを活用すれば老後に賃貸で暮らせる!
老後の住居として、持ち家と賃貸それぞれについてメリットとデメリットや向いている人についてみてきました。また、持ち家を売却して、賃貸物件で暮らすための情報をお伝えしました。
持ち家は、住居費が軽減されやすく、好きなように暮らしやすいようにリフォームできる点がメリットです。一方、住居や設備の点検や修繕費などが全額自己負担であること、相続時にトラブルとなる懸念があることがデメリットです。
賃貸物件は固定資産税や都市計画税の課税対象外で、分譲マンションでは必要となる修繕積立金などが不要で、住宅にまつわる相続トラブルが発生しにくいのがメリットです。一方で、賃貸では毎月の家賃・管理費がかかり、高齢を理由に住み替えがしにくくなるデメリットがあります。
そんな老後のリスクに備えつつ持ち家を売却するなら、一建設の「リースバックプラス」がおすすめです。リースバックを活用して老後資金を調達し、住み慣れたご自宅に賃貸で住み続けてはいかがでしょうか?
一建設株式会社の提供する「リースバックプラス+」では他社にはない仕組みを取り入れ、様々なニーズに応えることができる2つのプランを用意しています。
売却後に賃貸契約を更新していくことが可能な「標準プラン」は、賃貸として住んだ長さに応じて再購入時の価格が下がる仕組みを、業界で初めて導入しています。最短でも10年間、再購入価格が下がっていきます。
一方、比較的早期の買い戻しを計画している方や一時的な資金調達の方には「定期プラン」が向いています。こちらのプランでは、最大1年間の賃料が0円(以降は定期期間に応じて賃料設定)になります。
また両プランに共通して、賃貸3年目以降は新築物件への引っ越しも可能という、業界初の試みや、売却金のうち一部を敷金とすることで賃料を減額するサービスや、より快適で安心な生活のためのサポートサービスなども利用可能です。賃貸契約時に必要な、敷金・礼金・仲介手数料が不要でもちろん引っ越し費用もかからないため初期費用が抑えられ、更新料も不要です。
このように、一建設株式会社の「リースバックプラス+」には、将来設計に合わせた充実のプランが用意されています。リースバックをご利用になるなら、選べるプランと充実の特典が魅力のリースバックプラスをご検討ください。
